「観光」について考える

数年前から本業の「建設IT」関連に加え「地域観光活性化」について関わりを持たせていただくようになりました。
そのきっかけは自分の生まれ故郷の過疎化が急速に進行し町の中心部もシャッター街になりつつあり、そんな姿を見て少しでも町を活性化できないかと考えるようになりました。
いわゆる「郷土愛」というものかもしれません。


私の生まれ故郷は北海道空知(そらち)管内妹背牛町です。


3年前、産学共同で「空知夢創造研究会」を設立し、一般的なガイドブックでは紹介頻度の少ない空知地方の魅力を発信するため、地元建設会社、地域建設業協会様の協力を得てSNS連動型「ガイドブック SORACHI」を発行しました。


ガイドブックを発行したりSNSで情報発信したからといって急に観光客が増える程世の中は甘くありません。

しかし、ただじっとしていても変化は起きません。地道であっても活動を継続する事が大切だと考えています。



観光に携わるようになってから観光や地域活性化に関するセミナーや勉強会そして講演にも数多く参加させていただくようになりました。

そして多くの方とご縁をいただき、お話させていただき大いなるヒントをいただく事もできました。


観光を少し理論的な視点で学びたいと思い、今年9月から北海道経済部が実施している[観光人材育成] 北の観光マネージャーステップアップ事業「北の観光まちづくりリーダー養成セミナー」に参加させていただいています。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/kanko-manager.htm
http://kitakan-seminar.jimdo.com/


専門分野の講師の方から、観光資源の分析手法やマーケティングに関した事を学ばせていただいています。

また全道から志を同じくする多くの仲間の方々とこのセミナーを通じて情報交換させていただくこともできました。
各地域が抱えている観光に関する諸問題には多くの共通項があると感じました。
セミナーは毎月1回、土日の2日間開催され、来年1月まで続きます。

今後も一所懸命勉強させていただきたいと思います。




さて、それでは自分の故郷はどのようすれば活性化されるだろうかと具体的な内容を考えるようになりました。


そんな折り、昨日NHK教育テレビで「先人たちの底力 知恵泉(ちえいず)-観光立国ニッポンまちおこし術 伊佐庭如矢」を見ました。
http://www4.nhk.or.jp/chieizu/


実はこの番組先週放送されたのですが見逃したため昨日再放送分を録画しておいたのです。


番組は愛媛県松山市にある道後温泉が今日全国的に有名になったその経緯と歴史を振り返り、そのキーマンであった「伊佐庭如矢(いさにわゆきや)」初代道後湯之町町長を紹介するものでした。


道後温泉の歴史や伊佐庭如矢氏の人物像にも大変興味があったのですが、番組内でコメンテーターとして出演されていた星野佳路氏の話がとても興味を惹きました。


以前、星野氏が観光に関して大学のオープンカレッジでお話されたのを聴かせていただく機会がありましたが、とても共感できる部分が多く、以来星野氏の大ファンになりました。

画像

※写真は2008年11月札幌国際大学オープンカレッジにて



今回の番組内でいくつかの刺激とヒントをいただきました。

先ず活性化させたい地域の観光資源を発掘しその「コンセプト」を明確にすることです。



星野氏曰く

「コンセプトは地域が自慢できるものであれ何でもいいのです。それを地域の売りとして宣言しそれに対し地域の人達が同じ方向を向く事を決める事が大事なんです」



さらに星野氏の話は続きます。


「ターゲットは誰なのか明確にする事が大切です。みんなにいい顔をするということは結局誰も感動しないということであり、つまり誰もそこに行きたいと思わないということです」


う~ん...なるほど・・・



そして

「一点でもいいからものすごく感動する人達を作っていく、それが周辺に波及するのです。」


さらに

「少しの人でもそこに来ていただいているのであれば、何故その方々が来てくれているかのリサーチをしっかりする必要があります。」

たしかにそうですね。



それに関連して星野氏は次のように言っておられます。


「観光客が減ったら、減った人は誰だろうと考える事が多いようですが、減った人を呼び戻すのは並大抵の事ではありません。去った人を追いかけず、今残っている人達はどうして来てくれているかを知れば自分の強みがわかってくるはずです」


今回の番組で星野氏の話を聞き、また新たな気付きをいただいたように思います。




さて、話は変わりますが各地で「滞在型観光の促進」が叫ばれています。


それは日帰り旅行に比べ、宿泊頂くことにより地元に対し落ちるお金も大きくなり経済効果があるという事に他なりません。


宿泊者を増やすため、その町に宿泊したくなる魅力づくりやイベント開催そしてそれらを含めた町の観光情報提供があるかと思います。



最近これに関してある事を感じるようになりました。

それはもしその町に泊まってみたい魅力があった(できた)としても宿泊するホテルの選択肢が少なく宿泊料金が割高であればきっと泊まる事を躊躇するかもしれません。



昨今、ネットを介して宿泊予約する方が多くなってきました。

昨日、こうしたネットを活用した集客についてコンサル業務をされ、業績を伸ばされているG社の会社役員の方とお話させていただく事ができました。

24時間、ネット環境があればいつでもどこからでも空室情報や宿泊プラン確認と予約ができます。

これには大手ネット予約サイトを経由する場合と昨今では宿独自の予約システムで実施しているものあります。
もちろん後者の方が宿泊料の面で宿にとってメリットが大きい事になります。

こうしたネットを活用した予約システムが安価で利用できたり一部無料でできるものもあったりします。

来年1月、G社ではネットを利用した新しいサービスを開始する予定とお聞きしました。
そのお話をうかがい私は来年ある実証モデルをやってみたいと思いました。
人のご縁とはとても大切です。


さて、私は「SNSを活用して地域情報の発信」を実施しようと活動を行ってきました。

しかしこれは地域情報提供手法としてマイナス要素ではありませんが、今ひとつコンセプトが明確ではありません。



先程も書かせていただきましたが、SNSを利用してさらに具体的に訪れて頂くためにはその「ターゲット(誰に)」を明確にする必要があります。

そしてそのターゲットの方々に大いなるメリットや感動を感じていただく情報提供が必要であり一番効果的であるという事になります。


星野氏は

「今までの日本における観光は「点」の集合でそれぞれの「点」が競い合って情報発信や集客を行ってきました。しかし今後はこれを「面」にしていく必要があります。これは今後観光立国ニッポンとして観光も国際化していかなければならないからです」


これは具体的にいうと市町村の枠だけでなく都道府県の枠をも超えたエリアでの魅力づくりと集客を狙うというものです。

番組内では一例として「瀬戸内圏」のようなエリア設定もあるのではないかとおっしゃっていました。



これは1年4ヶ月後開通予定の北海道新幹線にも当てはまるかと思います。

青森、函館や北海道という括りではなくまさに「青函圏」という観光エリアでのプロモーションの必要性かと思います。



最後に星野氏はこう結んでいました。

「やりたい事をやる事も重要ですが、期待している事に応えることが自分の競争力になっていくのです。即ちそれが強みなのです」





今回の番組や今までご縁をいただいた方から与えていただいた貴重な助言を肝に命じ、今後も地域活性化に邁進していければと感じた今日この頃でした。

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