以前より当ブログをお訪ねいただいている方はご存じのことと思いますが私の本業は建設技術者向けのITコンサルティングです。
温泉や鉄道そして観光分野は個人的な趣味が高じて行っているものなのですが、昨年から少しこの分野にも力を入れていきたいと思いはじめ具体的な行動を始めることとしました。
元来、土木技術者である私はかねてより「建設インフラと観光の連携」ができないものかと考えていましたが、最近国土交通省が観光資源としてインフラに注目をするようになりました。
まさに今年は「インフラ観光」推進の年となりそうです。
とはいうものの、既に国内の著名インフラは多くの観光客で賑わいを見せています。
その典型的な一例は「黒部ダム」です。
http://www.kurobe-dam.com/
そもそも黒部ダムは関西地区の電力安定供給を目的として1956年着工、総工費513億円、作業員延べ人数は1,000万人を超え、工事期間中の転落やトラック・トロッコなどによる労働災害による殉職者は171人にも及び1963年完成しました。
これは映画「黒部の太陽」と制作され一般の方も知る事になります。
そもそもダム建設場所に通じる道路などが全くない中、工事が進められ世紀の難工事と言われました。
しかし完成後はダムへの交通手段が整備され、今は「立山黒部アルペンルート」として国内外から多くの観光客で賑わう一大スポットとなっています。
http://www.alpen-route.com/
我が家でも過去2回訪問しています。
一度は富山県側から、そしてもう一度は長野県側からです。
「立山黒部アルペンルート」は冬期間閉鎖されていますが、5月に入ると除雪され名物の「雪の壁」を見るため多くの観光客が訪れます。
これは、北海道の国道334号「知床峠」でも春の開通時に見られる光景で人気を博しています。
こうしたインフラは日常、電力提供という観点からではその偉業や壮大さを感じる事はありませんが、実際現地に赴きダムそのものを見ていただく事により、日本の土木技術の高さや工事の苦難を肌で感じていただけるものと思います。
日本各地にはこうしたインフラが数多く存在します。
しかし管理上その全てを観光資源化する事はできませんが、日本の土木技術の高さを国内外に知っていただく観点からも安全管理が適正に実施できる場所においては一般公開し多くの方にその存在を知っていただく事はとても大切であり「感動」を与えるものと私は思っています。
インフラはダムに限らず、橋梁、トンネル、道路、水路、鉄道、港湾、空港など多岐に渡ります。
今回ダムに限ってご紹介させていただきますが、北海道夕張市にある「シューパロダム」はまさにインフラ観光として注目を浴びているダムです。
http://www.sp.hkd.mlit.go.jp/kasen/08isiken/02genba/33yubari/
昨年は完成に向けての試験湛水が開始され、上流部にあった大夕張ダムや森林鉄道で短い期間でしたが活躍した「三弦橋」水没など、見所満載のダムとして多くの見物客が訪れています。
完成後、ダム周辺が整備され引き続き多くの方に訪れて頂ける「インフラ観光」として私は大いなる期待をしています。
2013年7月と2014年4月時点での変化はこんな感じとなっています。
先に述べましたが数年前より国土交通省がこうしたインフラ観光推進を始めています。
昨年100周年を迎えた「土木学会」も学会誌で千葉工業大学准教授八馬智先生がアドバイザーとして「土木観光」の現在-土木への好奇心を後押しする取組み-が特集されていました。
この写真は埼玉県春日部市にある「首都圏外郭放水路」です。
http://www.ktr.mlit.go.jp/edogawa/gaikaku/
事前申込みにより一般の方も見学可能です。
私も5年前、建設関連に従事する友人と訪問してきました。
私もこの特集を拝見しそれは今後急速に進むものと確信しました。
私が本業としている、土木技術者向けの講座でも今年はこの「インフラ観光」について少しお話をさせていただこうと考えています。
昨年、東京の出版社からご依頼があり写真提供をしほんの少しご協力させていただいた本が先日出版となり寄稿本が私の元へ送っていただけました。
この本は土木技術者も興味を持つことはもちろんですが、広く一般の方々にも大変興味深い内容になっていると思います。
今後こうした「インフラ観光」が推進され、国内外の観光客の方に感動を与えられたら素晴らしいと考えています。
そうした観点からして青函トンネルの2つの海底駅が廃止となり見学できなくなった事はとても残念でなりません。
観光関連に従事されていらっしゃる方は是非身近にある「インフラ観光」に注目してみませんか?
■「シューパロダム」はこちらです■
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