昨年11月18日、JR北海道は「当社単独では維持困難な線区について」を発表しました。
http://www.jrhokkaido.co.jp/pdf/161215-4.pdf
http://www.jrhokkaido.co.jp/pdf/161215-5.pdf
私も大変微力ながら、自分の故郷にある線区存続に関してお手伝いさせていただいています。
あらかじめ誤解のないように申し上げておきますが、私は「何が何でも鉄路を残せ!」と言っている訳ではありません。
「鉄道」の役割が私が幼少の頃とは大きく変わってきており、それを将来に向け、この問題が浮上した今こそ真剣に議論すべき時期がやって来たと考えるべきです。
私が幼少の頃マイカーを持たない家が多く「鉄道」は町と町を結ぶ貴重な交通機関でした。
その後道路整備とマイカー普及により一般家庭の移動手段は「鉄道」から「車」へと変遷を遂げます。
また長距離都市間に於いても高速道路、高規格道路延伸により都市間高速バスがJRよりも安い運賃で利用客を急増させています。
北海道のローカル線では「移動」のための交通手段としては通学生や高齢者などの交通弱者を除き利用が激減しています。
しかし、最近では訪日外国人観光客は急増し特に北海道は東南アジア諸国の人気観光地になっています。
国内観光客に目を向けると夏に比べ冬の入り込みが落ちるなか、訪日外国人観光客はその真逆で積雪期に人気が集まり増加しています。
今まで冬期間の観光資源と言えば、スキーや雪まつり程度でしたが、最近では単に雪と触れ合ったり母国ではあり得ない極寒を体験し、そして安全安心なグルメを楽しまれています。
日本の国土の20%をしめる広大な北海道を、特に冬期間安全安心に移動できる交通手段の一番手は「鉄道」だと思います。
高速道路内では安全上バス車内での立ち席は禁止されています。
都市間移動に鉄道を利用することで車内でのグルメ堪能や席を移動しての会談が気軽に楽しんでいただけます。
JR北海道の発表からまもなく9ヶ月を迎え、沿線自治体では町の広報誌を通じその取組について紹介しています。
その一部をここに記載してみます。
■音威子府村
http://www.vill.otoineppu.hokkaido.jp/about/kouhou/2017/files/07/2017_7.pdf
■名寄市
http://www.city.nayoro.lg.jp/section/kikaku/public/prkeql0000019tz1-att/prkeql0000019u8g.pdf#page=14
■士別市
http://www.city.shibetsu.lg.jp/www/contents/1458606800121/simple/20170701.pdf#page=2
■遠軽町
http://engaru.jp/kouhou_engaru/170701/P06-07.pdf#page=1
■滝川市
http://www.city.takikawa.hokkaido.jp/200soumubu/03kikaku/04kouhou/01kouhou_taki/2017/files/2908P02-03.pdf
■赤平市
http://www.city.akabira.hokkaido.jp/docs/2017072800030/files/29-08-02.pdf
■芦別市
http://www.city.ashibetsu.hokkaido.jp/data/open/cnt/3/4079/1/kouhou4.pdf
■富良野市
http://www.city.furano.hokkaido.jp/docs/2017072700033/files/201708all-mihiraki.pdf
■南富良野町
http://cms.town.minamifurano.hokkaido.jp/wp-content/uploads/2017/08/7bd146491858c44012c82f3141f82348.pdf#page=2
どの市町村も「鉄路」の重要性について書いています。
今後、鉄道以外の地域交通手段を含め検討協議され、鉄路の在り方についてその方向性が示される事になります。
私も全国で頑張っているローカル線を訪問させていただきました。
※いすみ鉄道です。写真は「大多喜駅」にて
http://www.isumirail.co.jp/
※由利高原鉄道です。写真は「矢島駅」、「まごごろ列車車内」にて
http://www.obako5.com/
※秋田内陸縦貫鉄道です。写真は「羽後中里駅」、」「阿仁マタギ駅」にて
http://www.akita-nairiku.com/
※道南いさりび鉄道です。写真「函館駅」、「上磯駅」にて
http://www.shr-isaribi.jp/
今回ご紹介した鉄道はいずれも三セクです。
JR北海道でもまだまだチャレンジできるアイデアが一杯存在します。
先駆者の教えやヒントをいただきトライしてみる価値は十分あるのではないでしょうか?
「乗りもしない鉄道に引き続きお金を投入することは無駄であり廃止すべきだ」
という意見があるなか
「今こそ地域一丸となりマイレール意識を醸成し、鉄路を活用した街づくりを考える良い機会である」
との意見も存在します。
いずれにしてもここままの状態では、JR北海道が言っている通り3年後には財政破綻してしまいます。
今月、この問題を抱える沿線自治体では、沿線住民の意見を聞くフォーラムを開催します。
正直、「廃止」の結論は簡単かも知れません。
しかし過去の経験から一度廃止された鉄路は余程の事がない限り二度と復活する事はありません。
かと言って「存続」はその何十倍も高いハードルが存在します。
そんななか、「マイレール意識を醸成し地域一丸となって存続の可能性について行動します」という自治体が現れたことは大変心強いことです。
残すにせよ廃止するにせよ、どちらにしても地域住民が納得する形での着地を望まずにはいられません。
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