JR「只見線」、星賢孝さんと鳥塚亮さん

私は鉄道ファンであり温泉ファンです。
鉄道ではローカル線が、温泉では秘湯が大好きです。

皆さん、「JR只見線」をご存じでしょうか?

JR只見線は福島県の会津若松駅新潟県の小出駅を結ぶ全長約135kmを結ぶJR東日本のローカル路線です。
https://www.fct.co.jp/chutele_matsuri/tadami-line/
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只見線沿線には秘湯も存在しています。
https://tadami-line.jp/

鉄道の歴史的は、会津若松駅を起点とした「会津線」と、小出駅を起点とした「只見線」、1971年(昭和46年)8月29日、 只見駅(福島県) - 大白川駅間(新潟県・駅間20.8 km)が延伸開業となり田子倉駅を新設し只見線の小出駅 - 大白川駅間を会津線へ編入して会津若松駅 - 小出駅(135.2 km)を新たに只見線として全線開業となりました。

只見線は過去に豪雨や地震災害により不通区間が発生して来ましたが、その後復旧され路線維持されてきました。

しかし、2011年(平成23年)7月30日 、 新潟・福島を襲った豪雨により会津川口駅 - 会津大塩駅間で只見川第5 - 第7橋梁が流失、また会津坂本駅 - 会津柳津駅間で路盤が流出し、会津坂下駅 - 小出駅間が不通となりました。
https://www.jreast.co.jp/railway/pdf/20130522_tadami.pdf

これは甚大なる被害でその復旧に必要な金額は福島県と沿線自治体に対しJR東日本から復旧費用が約85億円復旧工事の期間は4年以上との見通しを示し、「単独での復旧は困難」と伝えられました。

誰しも正直、只見線の全線復旧は困難と考えました。

打開策のない状況において、福島県と只見線活性化対策協議会に加盟する沿線自治体は、大きな決断を下します。
それが、「復旧後の赤字分も支援する」という方針です。

※以下、鉄道協議会日誌より引用させていただきます。
https://tetsudokyogikai.net/jr/tadami
2016年3月、福島県と只見線活性化対策協議会、そしてJR東日本は「JR只見線復興推進会議検討会」という新たな会議を設置し、補てん額や負担割合などを協議することになりました。

検討会は、翌2017年1月までに7回実施しています。2016年5月に開催された第2回検討会では、鉄道として存続させる意見だけでなく、バス転換するケースについても議論。それぞれのメリット・デメリットを整理したうえで、沿線自治体は鉄道の存続を要望します。

これに対してJR東日本は、第3回検討会(2016年6月)で上下分離方式の導入について説明。改めてバス転換するケースも含めて、沿線自治体で協議することになります。

2016年11月の第5回検討会では、復旧費用が約81億円になることが確定。上下分離方式を前提とした場合、JRが3分の1にあたる約27億円を拠出し、残り約54億円は自治体が基金などを使って支払うことで了承されます(その後、鉄道軌道整備法などの改正により、事業者が黒字でも該当路線が赤字であれば国の支援が認められるようになり、沿線自治体の負担額の半分を国が補助しています)。

そして、第6回検討会(2016年12月)。沿線自治体は、毎年2億円以上の負担があっても鉄道で復旧する道を選び、只見線を鉄道で復旧することが全会一致で決まります。それと同時に、只見線利活用プロジェクトチームを立ち上げることも決定。その後、只見線活性化対策協議会が中心となって、「只見線利活用計画アクションプログラム」の策定を検討していくことになります。

なお、JR東日本との基本合意書と覚書を締結したのは2017年6月で、復旧工事が着手されたのは2018年6月、そして2022年10月に只見線は全線復旧します。

只見線利活用計画アクションプログラムの内容
只見線利活用推進協議会が策定する利活用計画「アクションプログラム2022」について、みていきましょう。アクションプログラムでは、復旧前から進めていた事業を含め大きく9つのプロジェクトで構成されています。

(1)目指せ海の五能線、山の只見線プロジェクト(特別ツアーやイベント列車の運行)
(2)奥会津景観整備プロジェクト(景観に支障をきたす木の伐採など)
(3)只見線学習列車プロジェクト(学習列車の運行)
(4)奥会津サテライトキャンパス整備プロジェクト(会津大学などの企画)
(5)みんなの只見線プロジェクト(全線運転再開を記念したイベントなど)
(6)只見線産業育成プロジェクト(利用促進などに協力する団体への支援)
(7)只見線二次交通整備プロジェクト(周遊バスの運行・レンタサイクル事業など)
(8)只見線魅力発信プロジェクト(PR活動)
(9)只見線利活用


上記のプロジェクトを見ると、(1)(2)(7)(8)(9)は観光客がターゲット、(3)(4)は沿線地域の学生をターゲットとした施策です。

(5)は沿線住民に向けた施策ですが、地域が一体となって「観光客をおもてなしする」という内容ですから、観光誘客が目的といえます。また、(6)は沿線の企業向けの施策ですが、グッズ開発や販売などが想定されており、やはり観光誘客が目的です。

つまり、只見線は「観光利用のために復旧させた路線」と言い切れるでしょう。沿線自治体は、只見線を観光資源のひとつと捉え、地域活性化に必要不可欠な存在という認識で一致しました。だからこそ、鉄道の存続に年間2億円以上を投じるという決断ができたわけです。

利用者が極端に少ない路線を残すには、「沿線自治体が一丸となれる目的がつくれるか」「鉄道のために多額の支援をする覚悟があるか」という点が重要なポイントといえます。

鉄道を存続させる目的は自治体ごとに異なって当然ですが、全自治体で共通の目的がひとつでもあれば、意見をまとめやすくなります。意見がバラバラで話がまとまらず、結局廃止になるケースはこれまでにも多々ありました。何より、自分の町にしかメリットがない目的のために他の町が協力するわけがなく、億単位の予算を付けることはできないでしょう。

なお、上記で紹介した9つのプロジェクトにかかる予算も、福島県や沿線自治体が別途用意します。これを含めると、只見線のために年間約4億円が投じられることになります。一部は国が支援するとはいえ、沿線自治体にそれだけの覚悟がなければ、鉄道は残せないのです。


これを聞き、北海道人としてとても羨ましく感じずにはいられませんでした。
この違いはどこからくるのでしょうか?

この奇跡の復活についてNHKBSプレミアム「新日本風土記 74分版 絶景鉄道 只見線 11年目の再会」で詳しく紹介されています。
https://www.nhk.jp/p/fudoki/ts/X8R36PYLX3/episode/te/P5Q28NKPY2/

只見線の歴史と全線復旧に関する経緯については以上の通りです。



さて、話を戻します。

只見線は全国トップレベルの「絶景路線」と言われています。

その沿線を300日撮影されている郷土写真家の「星賢孝」さんがいらっしゃいます。
https://www.nhk.or.jp/fukushima/fmap/fmaprecords/ver13_1/

ネット上にある写真を拝見し感動の連続です。

星賢孝さんは四季折々の絶景をFacebookで発信されていらっしゃいますので是非ご覧願います。
https://www.facebook.com/kenkou.hoshi?locale=ja_JP

これを見た海外の多くの方々が只見線にやってきました。
これには星賢孝さんも驚かれたようです。

私も一度「只見線」に乗ってみたいと思っていました。

通常は会津若松駅~小出駅間は一日三往復の運行しかありません。
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できることなら「観光列車」に乗ってできたら最高とを描いていました。

なんと、その夢が今年6月実現できました。

只見線にえちごトキめき鉄道人気観光列車「雪月花」が乗り入れるというものです。
https://www.nta.co.jp/tohoku/triptotohoku/setsugetsuka.htm

下記2便が運行となりました。

お一人様80,000円という高額ツアー料金にも関わらず大人気のツアーで、予約開始と同時に完売となりましたが、お陰様で夫婦で6/18(日)【復路便】をゲットできました。

■6/17(土)【往路便】「上越妙高駅→直江津駅→長岡駅→小出駅→会津若松駅」

■6/18(日)【復路便】「会津若松駅→小出駅→長岡駅→直江津駅→上越妙高駅」
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この「只見線・雪月花」実現には実に多くの方の努力があってのことですが、その中心人物はやはり「えちごトキめき鉄道 鳥塚亮社長」です。
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※鳥塚社長お隣の女性は、えちごトキめき鉄道で企画営業を担当されている旅の仕掛人「池田香羊」さんです。

「只見線・雪月花」に乗車し感じたのは、とにかく沿線での歓迎が超熱烈であることです。

私とカミさんはこの「只見線・雪月花」乗車1ヵ月前、JR四国の観光列車2本に乗車していました。

志国土佐時代の夜明けのものがたり


伊予灘ものがたり


このJR四国の観光列車でも沿線住民の熱烈歓迎は感動でしたが「只見線・雪月花」にも大感動でした。






只見線・雪月花乗車に関する詳細につきましては私の下記ブログ記事を参照いただけましたら幸いです。
https://onsenmanhokkaido.seesaa.net/article/499781818.html

只見線における地元熱烈歓迎の裏には実はこうした条例があることも影響しています。

「只見線に手を振ろう条例」という条例がある。只見線の列車を見かけたら笑顔で手を振る事を促すという取り組みで、只見線の沿線6市町村(柳津町、三島町、昭和村、金山町、只見町、魚沼市)で制定されている。只見線が走っていない昭和村でも、地域振興の為にと条例が可決されたという事・・・。
なんとも素晴らしい条例だと思う。列車の車窓を見ていて手を振られると嬉しいものだし、旅の想い出にもなるだろう、そして住民の方のおもてなしの心・・・・。


さて、「星賢孝」さんの写真を生で見たいと思っていたところ、今年10月下旬、新宿のホテルで写真展が開催されることを知りました。
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ちょうど、仕事で東京出張があり訪ねてみました。
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会場で来年のカレンダーが販売されていましたので購入させていただきました。

我が家来年のカレンダーはこれに決まりです。
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そしてこの写真展会場にえちごトキめき鉄道、鳥塚亮社長も来場されていました。
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ということで会場で星さん、鳥塚さん、私で記念撮影させていただきました。
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その時の様子を鳥塚さんのブログでも紹介されていました。
https://www.torizuka.club/2023/10/29/%e6%98%9f%e8%b3%a2%e5%ad%9d%e6%b0%8f%e3%80%80%e5%86%99%e7%9c%9f%e5%b1%95%e3%80%80%e3%81%ab%e8%a1%8c%e3%81%8d%e3%81%be%e3%81%97%e3%81%9f%e3%80%82/


鳥塚社長は「いすみ鉄道」時代からローカル線がもたらす地域経済効果について語られています。

・鉄道路線そのものの営業成績は悪いかもしれない。
・でも、そのローカル目当てに、日本だけじゃなくて世界中から観光客が来る。
・只見線の絶景は朝じゃなければ見られないシーンが多いので、来る人は皆さん福島県に泊まる。そうすれば地域経済が生まれる。
・ローカル線に来る外国人は皆さん成田や羽田、最近は他の都道府県からも来るが、ほとんど新幹線をはじめとするJRに乗ってやってくる。でも、そういう数字は只見線の営業数字には入らない。
・皆さん、そういうことをしっかりとご理解いただいたうえで、ローカル線の価値というものをきちんと評価していただきたい。

こうした言葉を聞くと

「攻めの廃線」ではなく「攻めの存続」が浮かび上がってきます。

ローカル線存続の費用負負担で地元熱意が不可欠であることを痛感しました。

そうした観点で考えると全国有数の絶景やグルメを有する北海道のローカル線存続が危機に晒され悲壮感が漂っている感がしているのは私だけでしょうか。

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